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読書録─「イマーゴ」-『東京伝説 狂える街の怖い話』より

読書録─『東京伝説 狂える街の怖い話』より 「イマーゴ」竹書房文庫





青木無常です。

今回も前回同様、平山夢明の『東京伝説 狂える街の怖い話』から一話をご紹介いたします。

例によって、ネタバレ部分は色を変えておきますので、自己責任の上、ドラッグ反転等でお読み下さい。



イマーゴ


今回は「イマーゴ」という、ききなれない響きのタイトル。

Googleで検索してみても、この小話に該当する言葉はヒットしないが、作品冒頭でいきなりその正体が明かされている、かに見える。



いわく、ドラッグ。
要するに麻薬である。

舞台は《ヨーロッパのある国》とだけ記載されている。

そこで《沈んでいた》オッツという男は、安価な新手のドラッグであるイマーゴの噂をきき、それを手に入れたという女を紹介される。
女は、イマーゴを二ヶ月ほど続けているが、それを服用していると《見るモノ聞くモノ、全てが皮を一枚も二枚もはぎ取ったように美しく感じる》という。

作用は何日も続くだけでなく、後になるほど良くなるといい、《決めるとセックスが最高》で、それまでしてきたものが《ままごとだったと気づかされたのだと》も。

オッツの入り浸っていたクラブで、イマーゴは女の手から爆発的に流行しはじめたが、オッツ自身には全く効かなかったらしい。

服用すると一週間後に効果がはじまり、数週間続けると更に強化されるが、ある時、イマーゴをやっていた人間が突然、街から姿を消してしまう。

数週間後、イマーゴをやっていたひとりがオッツの前にあらわれたが、痩せ衰えた姿と化していた。

地獄のクスリだと表現するその男の話によると、イマーゴは<以下ネタバレにつき白字>人間の脳に巣を作る寄生虫の卵なのだという。

経口されたイマーゴが効果を発揮するのが遅いのは、体内に侵入した蟲が脳に到達するまでに時間がかかるからであり、孵化した幼虫が成虫にまで成長すると五ミリぐらいにまで大きくなり、脳を食い始めるとともに爆発的に増える。

《そして脳が外部と接触している唯一の出口を通って外に出ようとする》という。
すなわち《イマーゴの最終段階では、みんな目玉からノミの子供みたいなものを溢れ出》させてしまう》のだと。

そして最後に付け加える。《どうやら名前を漢字に変えて日本にもイマーゴは入ってくるそう》
<以上ネタバレ>だと。



あらすじは以上です。

このシリーズは実話のていをとっていますが、この話は特に創作っぽい雰囲気が濃厚ですね。

Googleで検索してもヒットしない、という部分もそうですが、この文庫本の奥付を見ると出版が2003年となっている。
いくらなんでも、そんな“ドラッグ”が入国していれば、大騒ぎになってしかるべきでしょうし、イマーゴの生態も物語に都合がいいつくりになっているように思われます。

いわく《殻から出た幼生は通常、人間の体温変化程度にも耐えられないほど脆弱》なので、《常に一定の温度を約束されている脳をすみかにする》というあたりとか、《経口されたイマーゴは胃袋から血管に吸収されると、そのまま静脈から心臓へ、そこから大動脈を使って脳へと進む》というあたりなども。

ジャンキーの説明にしてはずいぶん詳細ですが、一番気になりそうな部分――たとえば、イマーゴが脳内に達したとき、どのような作用でドラッグのような効果を発揮するのかとか、治療法などといった部分に関する説明はいっさいありません。

あり得ないとまで言い切れるような医学知識はカケラもありませんが、そういう生態の“蟲”がドラッグのような作用を及ぼす、というのも、どうにも都合がよいように思えてしまう。

創作、と考えたほうが無難でしょう。

その方が、精神的にも都合がよろしい。



ただ、漢字の名前は知りたいところです。
この手の“ドラッグ”で、漢字を冠せられたものは存在するんでしょうかね。

もし存在するとしたら――それが、イマーゴなのかもしれません。


東京伝説 狂える街の怖い話』より


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魔法使いの赤い城へようこそ。青木無常と申します。

主にホラー・ファンタジー系の作品に対する感想を中心に書いていきます。

また、備忘録もかねて、あらすじも記載いたします。
詳細なあらすじになる場合もあり、ネタバレもがんがんしまくりますので、あらかじめご了承願います。

一応ネタバレ部分は
<以下ネタバレ>ネタバレ部分<以上ネタバレ>
のような感じで括って中身の文字色を変えておきます。
必要に応じてドラッグ反転でお読みいただきますよう、お願いいたします。

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