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読書録──『奇妙な論理』

アメブロ「○○を得る魔法」より転載(元記事は削除済)

読書録──『奇妙な論理 だまされやすさの研究』M・ガードナー/社会思想社



トンデモ系揶揄本の元祖。
BookOffで見かけたので105円で購入。初読。

ちょっと古いかもしれない。
けっこうたいくつな箇所がすくなくなかった。

なるほどと思う面と意外な面とが
同居している部分もある
「医療の四大宗派」という章とか
「食物のあぶく流行」という章とか。




「医療の四大宗派」では、脊椎指圧療法というものが
「アメリカの医学的愚行」
のひとつとして紹介されている。

脊椎指圧療法という訳語だと耳慣れないけど、
原語ならわれわれにもなじみ深い。
カイロプラクティック chiropractic だ。

この本のレポートを読んでいると、
たしかになんだかわけのわからない
民間療法・迷信療法もしくはインチキ療法に思えてくるが、
Wikipediaで調べてみると、
WHOで鍼灸などと同様の代替医療として
認められてるとか書かれているよ。

Wikipediaはあてにならない、
とはよくいわれる言葉だけど、
いくらなんでもまちがったことが
ここまで堂々と放置されてるってことは
考えにくいんじゃないかな。

ちがうかな。

どっちにしろ、カイロプラクティックが
社会的な問題になったって話はきき覚えがないし。

だいたい、カイロプラクティック以上に
われわれ日本人にはなじみ深い鍼灸にしたって、
この本では民間療法っぽい扱いで言及されているよ。
あまりはっきりと否定されているわけではないけどね──
というか、この時代のアメリカにおいては、
鍼灸に関してはだれも興味をもっていなかったらしく、
ちょっとふれられている程度なのね。



「食物のあぶく流行」においては、
菜食主義批判がみられる。
「肉なしでもバランスのとれた食事が
できることを否定する医者はいないが、
そうすることは困難だし、
全く不必要だというのが真相なのだ」(p.180)
と断定しちゃってるよ。

たしかに、この本にも書かれているとおり、
植物性タンパクだけでは補えない栄養があるってのは、
ぼくもきいたことあるけど。
実際のとこどうなのか。

“極端な”菜食主義はたしかにまずいという気がするけど、
どうも菜食主義のが健康そうなイメージがあるのだけどなあ。
単に菜食重視主義と菜食主義とを混同しているだけなのかなあ。

有機農法も否定的に書かれているね。
この項は「料理した「死んだ」食物を」
食べることがからだによくないということを
主張している人物の報告から入っているけど、
すぐにこの人物が
「有機農業」の指導者であるというふうに展開して、
これらの主張がヒステリックで根拠に欠け
有害であるという論調でしめくくっている。

「ロデールによれば、食物が化学肥料によって
活力を弱められた土に育てられると健康価値を減ずる」(p.181)
と批判的に書かれてるんだが、
これっていまの日本ではふつうに
そのとおりと思われていることなんじゃないのかな。

「土は生物のようなものであって、
動物肥料または植物肥料だけが
その活力を減らさずに保つ、とロデールは主張する」(p.181)
てのも、別に奇異には感じられないんだけど。

自然がいちばん、という考えかたは、
トンデモなのかなあ。

それとも、現代日本で推奨される有機農法というのは、
単に農薬を使わないというだけの話なのかな。
化学肥料は問題ないってことなのかな。

前章の「医療の四大宗派」では
薬も大部分は自然のものから効果ある成分を
抽出しただけのものなのになぜ
「自然」と区別してヒステリックに
否定するのか、とでもいいたげな文言があったし。




ハウザー・システムというものを批判する項でも、
気になる部分があったよ。

ハウザー・システムそのものは
確かにうさんくさいかもしれない。
「基本的にはそれは自然療法の行き方だが、
ハウザーが五つの驚異の食物と称したもの──
スキムミルク、ビール酵母、小麦胚芽、ヨーグルト、黒糖蜜──
を特別に強調するものである。

「これら五つの食物のどれ一つでも毎日使用すれば、
たぶんあなたの生涯に
五年の若い年を加えることができるだろう」と
彼は書いている」(p.187)。

スキムミルクやビール酵母はよく知らないけど、
うしろの三つは何となく健康食品として
きき覚えのあるものばかりという気がするなあ。

とくにヨーグルト。
これに関してこの本の著者は
「たとえばヨーグルトは特別な方法で発酵させた牛乳で、
バターミルク以上の健康価値はないのだが(後略)」(p.187)
と述べている。

え? そうなの? 
ヨーグルトが健康にいいって
朝の番組とかでいってるのはでたらめなの? 
……とはいえ、朝の番組でいってる健康情報の多くが
当てにしないほうがいい内容であるという話は、
まあ以前からいわれてはいるわなあ……。



この本が書かれたのはかなり前のことみたいだし(1952年刊)、
当時知られていなかった“科学的”事実が
いろいろあったのかもしれないけど。

でも、非科学的な姿勢を批判する本から
そういう感じを受けるというのは、
なんとも釈然としないものだよ。




本の内容とは直接関係ないけど、
「オルゴン理論」という章でおもしろい記述があったよ。
いわく、オルゴン治療という
うさんくさい療法の効能を紹介しているくだりで、
疲労とか初期のガンとか関節炎とか偏頭痛とならんで
「花粉症」という文言がはっきりと書かれているのね。
原語がどういう言葉なのかは知らないけど、
私が生まれる十年も前に、
花粉症なんてのが一般的にあったんだねえ。




「ESPとPK」の章では、
超能力に関して興味深い批判が書かれているよ。

「ESPを支持する人々が、
正統派の心理学者が心霊的現象を無視してきた
といって非難するとき、
それに対する答は、それは事実ではないということである。

[無視するどころか]多くの慎重な実験がなされてきたのだが、
結果はすべて否定的だったのだ」(p.263)。



SFの世界だと、超能力というのはけっこうポピュラーで、
科学的にあり得ること、という印象がつよいんだけど、
現実は世知辛いねえ。

だからって、否定派になる気もないけど、
この手の議論がアカデミックな世界で
無視されがちな現状ってのには、
たしかに由来があるということのようだねえ。

ま、SFの世界っても
「超」の字をつけるだけで嘲弄の雰囲気を
漂わせるかたがたもすくなくはないけどね。



この章では有名なライン“博士”が
こきおろされているけど、
ちょっと私も意外というか、なるほどと思った部分があって、
ラインがESPカードで有意な結果を得たと主張する実験方法に、
明らかな問題があるって部分。

科学ってのはくりかえし実証されないと
定説にはならないってのがある。

ライン博士はESPカードを使った実験で、
確率的にはあり得ない頻度で
カードの模様を当てるひとびとがいるって
主張するのだが──その方法ってのが、
最初の被験者の中から正解率の高かった半数を
つぎの実験でピックアップし、
さらに正解率の高い半数を、とくりかえしていくと、
最後に百パーセントの正解率を誇るひとが……
ってな結果に。

たしかに、考えてみりゃあたりまえの結果だわな。
この最後にしぼりこまれた一人が、
その後も確率的にはあり得ない高頻度で
カードを当てつづけて初めて
再現性が確認されるわけだけど、
実際には(ライン博士が“正直”に報告しているとおり)
そんなことは起こらないわけで。

でも博士は(似非宗教家が好んで口にするごとく)、
疲労や否定的な周囲の視線が
彼の能力にブレーキをかけるのだと信じこみ、
数多の後継者を生み出していったことは
現状の示すとおり、といったところなのかな。



たしかに“超”の世界は、夢だけじゃなく、
山のようなペテン師たちのつけ入る
かっこうの隙間をあけている。

それにだまされた純朴なひとびとは
ヒステリックに否定派に転進するのだろうな、
とは以前から思っていたことではある。



まあ、もし超能力というものが
ほんとうにあるとしても、
それが実証されたらされたで
夢は現実によっていずれ打ち壊されるわけだけど、
そのことに関してはまた別の機会にでも言及したい。




本書は古典本と考えたほうがよいだろう。
トンデモ系を笑う本なら、
山本弘のほうが同時代性が高いだけあって
読みやすいし状況もよくわかるからねえ。


まあ、山本弘の本を読んで
本書の存在を知ったんだけどさ。


Amazonリンク




※この記事は2009年09月27日 14時24分47秒 にアメブロに投稿した記事を転載したものです。
 またこちらへの転載に伴い、アメブロおよびBloggerのミラーサイトに掲載した元記事は削除いたしました。


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