レビュー『エコエコアザラク ~眼~』Night08「幽体」 | 魔法使いの赤い城

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レビュー『エコエコアザラク ~眼~』Night08「幽体」

ご訪問ありがとうございます。
青木無常です。

本日は『エコエコアザラク ~眼~』
Night08「幽体」のレビューです。

ネタバレあらすじは前半と後半にわけましたが、
レビューは一記事です。



今回のエピソードは、
お話としては小品といった感じで、
全体の中で占める比重は
それほど重くはないと思います。

でも、個人的には、
この物語の中で、もっとも心に残る
エピソードです。



『エコエコアザラク ~眼~』
Night08「幽体」
2.レビュー

Night08「幽体」のネタバレあらすじ(前半)はこちら
Night08「幽体」のネタバレあらすじ(後半)はこちら





南無阿弥陀仏



まず、いきなり由比奈が
人形や呪文が書かれたノートを
焼却炉で焼きながら
「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」
と唱えています。

若干、ヘンですね。
違和感が大きいです。
西洋魔術の物語である
『エコエコアザラク』で
「南無阿弥陀仏」はねえ(^_^;)。

ただ、黒井ミサが
白装束に身を包んで
丑の刻参りする
古河新一先生自らの手になる
漫画とか映像もありますし(^_^;)。

それに、日本の平均的女子高生である
由比奈が、返ってきた呪いを解くために
頭に浮かぶのは、たしかに
「南無阿弥陀仏」くらいかもしれませんね。

キャプションが入るのも
最初は若干邪魔に感じましたが、
慣れてくると、逆に雰囲気を
盛り上げているようにも感じられました。

独白調の、テンションの低い感じの
ナレーションも、
エピソード全体の雰囲気を
作り上げていて
効果的な感じです。



で、鏡の前で由比奈が、
顔から何かをはがすシーンが
ありますが、
ビデオで見ているので
画質が悪いのもあって
はっきりとはわかりません。

たぶん、かさぶたのようなものを
はがしているのだろうな、との
推測であらすじは書きました。

壁の“染み”



須田薫はあいかわらず、
学校の壁の“染み”を
気にしていますね。

由比奈は通りすぎがてら
「ごめんなさい」
気が小さい感じが如実に出ていて、
実にいいですねえ(^_^;)。

軽い気持ちでやってみたことが、
えらいことになってしまったという
後悔と不安がものすごく出ていると思います。

薫は見覚えのあるような気もする下級生、
程度の認識しかないので、
なんのことだという感じの
顔つきで見送ります。

で、もう一度壁を見ると、
“染み”が消えている。

由比奈が、嫉妬から薫を呪ったことで、
“返り”を受ける羽目になったのにびびって
呪いどころではなくなった、
といったところですね。

そりゃ色恋沙汰よりは、
自分の命ですよ。
残念ながら、もう手遅れですが。

もうひとりのわたし



で、ここから、
謎めいた展開が始まる。

もう一人の由比奈。
いわゆるドッペルゲンガーですね。
西洋の(ドイツの?)民間伝承で、
この現象に遭遇したら、
寿命が尽きる寸前である証、
とされています。

が、この物語では
<以下ネタバレ>
若干変わった処理がなされていて、
由比奈が“死ぬ”とはいえない
奇妙な結末が用意されていますね。
<以上ネタバレ>

この奇妙な処理のしかたが、
はっきりとした解決感のない、
曖昧模糊とした結末に
つながるわけですが。

私は、実は好きです。

不気味で、なおかつどこか不思議な
的外れを承知でいってしまえば、
そこはかとなく詩情のただようような
余韻を残す結末のつけかたです。

何か、やり残したことがあるような、
でも、もう終わってしまって
取り返しのつかないような。

そんな雰囲気が、
物語全体に、静謐に
ただよっているように感じます。

派手さのない怖さ



また“二人の由比奈”を
演じわける笹岡莉紗の演技も、
なかなかおもしろいと思います。

演技のよしあしはよくわからんのですが、
テンション低くびくついてる由比奈と
ふつうの感じの由比奈。
この“ふつうの感じ”の
由比奈が、また怖い。

薫の部屋に出現して
表情豊かに無言で何かを
つぶやくシーンとか
街角でバレエのようなダンスを
やけに楽しそうに(それがまた不気味)
踊るシーンとか。

鏡の中で微笑むシーンも、
怖かったですね。

狂気のようにも見えるし、
人間以外の何かのようにも見えるし、
ふつうにも見える。

演出の妙もあるのかもしれませんが、
とにかく不気味で怖い。

ぎゃっとなる怖さは、
今回はあまりありませんが。

それだけに、印象に深く残る。

「山中博美のスクープアイ」!



で、そんな雰囲気とは対極に立つ、
山中博美です。

またひとつステップアップしましたね。
自分の番組を持った様子。
しかも、社会派な感じ。

で、その裏では、政治家秘書・
岸田(岸田先輩の父親)を通して桜木が、
そしてその背後にさらに黒幕がいることを
岸田のセリフでにおわせている。

博美は、自分の実力ではなく
だれかに利用されるために
仕事がまわってくることが
気に入らない様子も見せますが、
ちょっと一貫性がないかな。
枕営業も厭わない姿勢を
以前は見せていましたからね。

もっともその時も、
“邪眼”を
使うつもりだったのかもしれませんが。

で、岸田は岸田で、
博美の“眼”に情欲を刺激され、
「赤い部屋」に電話をかけている、と。
ろくでもないヤツです。

まあ、実際、かなりろくでもないです、
このひとは。

佐橋恵理が「赤い部屋」に潜入!



「赤い部屋」では、
あいかわらずリリーちゃんが
無言で腰かけていますね(^_^;)。

ミサがリンダさんに
「友だちいなそうだから」
と、さらっといったり、
逆襲でリンダさんが
ミサの耳に指つっこんで
ぐりぐりしたり、と
なんだか角突き合いながらも、
だいぶなじんできた感じで
おもしろいシーン。好き。

で、恵理がびびりながら入ってくる。

衣装に着替えて鞭を手にするミユキとか
ふてくされた感じでタバコをふかすリンダとか
「赤い部屋」の隠微な雰囲気とか。

あげくの果ては
ミサの肩ごしに
包帯だらけのリリーちゃん。

ふつうびびりますよ。

恵理がふつうです(^_^;)。

笹岡莉紗の資質



須田薫の自宅のシーン。
風呂あがりの薫=三津谷葉子が
すてきです(^_^;)。

で、宮田由比奈(の分身)が、
なんの脈絡もなく薫の部屋にいる。
鏡の中に、話したこともない後輩の姿を見つけて
狼狽し、誰何する薫。

由比奈は、ユーモラスともとれる
わざとらしい感じで表情をくるくる変えながら
おおげさなほど大きく口を開閉して、
声には出さずに何かをいう。

何を言っているかはまるで不明。
激しく好奇心を刺激されます。
ここも何の説明もありません。
ですが、説明がないことが
逆に効果を上げている。

どちらかというと
ファニーフェイスな笹岡莉紗が
かなり不気味でサイコな感じに
描かれています。

突然あげる叫び声も、
うっとうしくない程度に
効果がかけられているでしょうか。

わかっていても、
このシーンはドキッとさせられます。

この話の中で、一番派手でおもしろいシーン。
(それだけ、全体が静かに進んでいる
証左でもありますかね)。

遭遇



で、後半部になって、
いよいよ“ふたりの由比奈”が
邂逅することとなります。

まず、いきなり友人のひとりが、
激昂しているシーン。

前半部の最後に出てきた、
“バレエを踊る由比奈”と
似たようなのが、
この友人の家の近くにも
出没したのでしょうかね。

このあたりの演出は、
“もうひとりの由比奈”が
ほんものの由比奈より
自由奔放な、いわば
抑圧されていない人格であることを
暗示している、という解釈もできますね。

<以下ネタバレ>
ともあれ、
“もうひとりの由比奈”は
じわじわと由比奈の
居場所を侵食していく。

時間軸が進むにつれて、
由比奈の存在そのものが、
薄く、他者に届かないものに
なっていく。

少女は変貌していく



そして、公園(らしき場所)で、
魔法陣の中で呪文を唱えるミサが、
今回のエピソード全体の
コンセプトらしきセリフを
口にするシーンにつながっていきます。

少女が別の生き物に変化していく
“思春期”と、
昼が夜に変わる逢魔が刻の恐怖を
同じものとしてみている。

直前のシーンでは、
ドッペルゲンガーの出現に
パニックに陥っていた由比奈も、
このシーンでは、
あきらめたような切ない顔つきで
「私は……ほんもの?」と、
誰にともなく問いかけている。

これも思春期の抱える
得体の知れない不安が
具現化したような演出に思えます。

薫や恵理の危機には
すべてを投げうってかけつけるミサも、
ここでは、完全に傍観者――
というよりは、同じ不安を抱えて
彷徨している感すらあります。

物語としては、
いつものように、凛と呪文を唱えて、
由比奈を乗っとろうとしている
“もうひとりの由比奈”を
調伏するのが正しい。

しかしここでは、
由比奈を侵食していくのは、
悪の権化の化物などではない。

“別の生き物”へと変貌していく、
そのために喪われていく何か、
の象徴が
“消えていく”少女、という形で
描かれている。

ゆえに、ミサもまた、
無力に、見まもる以外に
すべはなかったのでしょう。
<以上ネタバレ>

世界は、いやおうなしに、
変貌していく。
昨日あった何かを
つねに奪いとっていきながら。

複眼について



前回の章タイトルであった
“複眼”を思わせるシーンもありましたが、
私の考える限りでは、
この無数の“眼”というのは、
不気味な演出以上の意味合いは
感じられませんね。

“複眼”である意味も、
強引に解釈するならば、
あらゆる人々が
呪詛で他者を呪い、
反動で自分が呪われていく、
というような世相を
何となく当てはめることくらいなら
できないこともないな、
といった程度です。

もうひとりの少女もまた、決断する



さて、最後に、須田薫が
何かを決心して、
岸田先輩のマンションに向かいます。

この世ならぬものに怯え、
自分の持っている
恐るべき力に怯えていた少女が、
恐怖を乗り越え、真実を求めて
歩を踏み出したシーンです。

ここにもまた、
“別の生き物”への変貌の
ひとつの形が語られているようです。

残念ながら、その結果は
おぞましい悲劇へと
直結しているのですが。



以上が
Night08「幽体」のレビューです。

エピソードとしては、
全体の大きな筋のなかの、
小さな傍証程度に過ぎない内容ですが、
私にとっては、
もっとも心惹かれる佳品です。



というわけで、本日はこのへんで。
それでは、また。

Night08「幽体のネタバレあらすじ(前半)はこちら
Night08「幽体のネタバレあらすじ(後半)はこちら



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主にホラー・ファンタジー系の作品に対する感想を中心に書いていきます。

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詳細なあらすじになる場合もあり、ネタバレもがんがんしまくりますので、あらかじめご了承願います。

一応ネタバレ部分は
<以下ネタバレ>ネタバレ部分<以上ネタバレ>
のような感じで括って中身の文字色を変えておきます。
必要に応じてドラッグ反転でお読みいただきますよう、お願いいたします。

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